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「日に何度も階段を昇り降りする必要があり、大変でした」
以前は築20年以上の2階建て住宅で暮らしていた、松江市のM様ご家族。車椅子を使うお子様との生活を考える中で、毎日の移動や介助の負担を減らせるバリアフリーの平屋を希望されるようになりました。
そこで新しい住まいでは、単に段差を少なくするだけではなく、車から玄関、室内、水回りまで、暮らしの中で繰り返す「移動」そのものを見直しました。
インナーガレージ、玄関スロープ、高さ5cmに抑えた上がり框、ゆとりを持たせた廊下や水回り。そして、「行き止まりのない家にしたかった」というご主人の希望を生かした回遊できるLDK。
家族みんなが動きやすく、外へも出かけやすい。M様邸は、毎日の暮らしを細かく見つめることから生まれた平屋です。
M様ご夫妻が家づくりを考え始めた大きな理由が、これまでの住まいで感じていた階段移動の負担でした。
車椅子を使う家族と暮らす場合、本人が移動できることだけでなく、介助する人が一緒に動けるスペースも必要です。
そのためM様邸では、部屋や廊下を車椅子の幅と介助者の存在を意識して、ゆったりと計画しました。
平屋にすることで、生活に必要な空間を同じフロアに集約。上下階を行き来する必要がなくなり、家の中を横方向に移動するだけで生活できる住まいになりました。
さらに、壁の角には丸みを持たせたR出隅加工を採用。玄関ホールでは壁を通常より10cm引っ込めることで、洗面所への視線を遮りながら、廊下の幅も確保しています。
バリアフリーというと「段差をなくすこと」に目が向きがちですが、M様邸では、人がどこを通り、どこで方向を変え、誰が一緒に動くのかまで考えて空間を整えています。

もう一つ、M様ご家族が強く希望されていたのがインナーガレージでした。
車椅子そのものにも重さがあり、車への乗せ降ろしや、家族を介助しながらの乗降には負担がかかります。雨や雪の日であれば、その大変さはさらに増します。
そこで、屋根のあるインナーガレージを住宅の一部として設けました。
駐車スペースから玄関ポーチへはスロープを設け、車椅子やベビーカーが通りやすいよう勾配や幅を細かく検討。さらに玄関の上がり框は高さを5cmに抑え、室内へ入る際の介助がしやすい形にしています。
インナーガレージ → スロープ → 玄関 → リビング/洗面・脱衣室
玄関からはリビング側と洗面・脱衣室側への2WAY動線を確保しています。
家の中だけをバリアフリーにするのではなく、車を降りるところから室内までを連続した生活動線として考えたことが、M様邸の大きな特徴です。
実際に暮らし始めてからは外へ出やすくなり、ご家族からは「外との距離が近くなり、家族の時間が増えた」との声も聞かれました。


毎日の暮らしの中で、もう一つ大切にしたのが入浴時の移動です。
M様邸では、子ども部屋 → 脱衣室 → 浴室へと、できるだけまっすぐ抜けられるルートを確保しました。
子ども部屋 → 脱衣室・ランドリー → 浴室
浴室の出入り口も、車椅子のまま入りやすい引き戸を採用しています。
方向転換や遠回りが増えるほど、本人にも介助する家族にも負担がかかります。日常的に繰り返す入浴だからこそ、移動距離と通りやすさを間取りの段階から考えています。
脱衣室は一般的な広さの約3倍を確保し、ランドリーを兼ねたユーティリティスペースとしました。
洗濯物を干す場所として使えるだけでなく、一角には奥様がミシンやアイロン、勉強などに使えるカウンターも設けています。
家族の介助や家事をする場所でありながら、奥様が「自分のペースで過ごせる場所」でもあること。
必要な広さを確保したことで、一つの空間に複数の役割を持たせることができました。

脱衣・ランドリースペースのすぐ隣には、大容量のファミリークローゼットを配置しました。
乾いた衣類は、ハンガーに掛けたまま隣のクローゼットへ移動できます。
洗濯 → 室内干し → ファミリークローゼットへ収納
洗濯物をいったん取り込み、畳んで、各部屋へ何度も運ぶのではなく、洗濯する場所と収納する場所を近づけることで、毎日の移動そのものを減らしています。

ご主人が希望されたのは、「行き止まりのない家」。
その考え方はLDKにも生かされています。
中央にアイランドキッチンを配置し、キッチンの周囲をぐるりと回れる動線に。車椅子での移動を想定して通路幅も広めに確保しました。
この余裕は、車椅子だけのためのものではありません。
大人2人がキッチンで行き来しやすくなったことで、ご主人が料理や配膳を手伝う機会も増えたそうです。
家族の誰か一人のために考えた工夫が、結果として家族みんなの動きやすさにつながる。M様邸のバリアフリー設計を象徴する部分の一つです。

M様邸の家づくりを振り返ると、共通しているのは「移動をどうするか」という視点です。
以前は、日に何度も必要だった階段の上り下り。
車椅子を積み降ろししながらの外出。
子ども部屋から浴室への移動。
そして、洗濯物を干して収納するまでの移動。
それぞれを別々の問題として考えるのではなく、家族が一日の中でどのように動いているのかを間取りへ落とし込んだことで、暮らし全体の負担を減らしていきました。
暮らし始めてからは、外出もしやすくなり、ご家族で過ごす時間にも変化が生まれたそうです。
バリアフリー住宅は、段差や設備だけで決まるものではありません。
「誰が」「どこからどこへ」「どのように動くのか」。
そのご家族ならではの毎日を丁寧に見つめることが、暮らしやすい住まいづくりにつながります。
今回ご紹介した玄関やインナーガレージ、ランドリースペース、アイランドキッチンなどを写真で詳しくご覧いただけます。
家づくりを始めたきっかけや、予算との向き合い方、実際に暮らし始めてから感じた変化など、ご夫妻の言葉で詳しく紹介しています。
松江市は、歴史的な伝統と豊かな自然が調和した住環境が魅力です。2025年の朝ドラの舞台にもなったこの街は、落ち着きのある街並みが広がっています。周辺にはスーパーや学校、公共施設が整い、日々の買い物や子育て環境も充実。自家用車や、松江市営バスや一畑バスなどの公共機関を利用して松江市街地や日本海、宍道湖沿岸へも快適に移動できます。海と山に囲まれた穏やかな雰囲気の中で、安心して暮らしたい方におすすめのエリアです。
「階段の上り下りが将来負担になりそう」
「ベビーカーや車椅子でも移動しやすい家にしたい」
「介助する人も動きやすい水回りを考えたい」
「介護する人も動きやすい家にしたい」
「平屋にしたいけれど、自分たちに必要な間取りが分からない」
住みやすい間取りは、ご家族によって違います。
人気の間取りや設備をそのまま取り入れるのではなく、まずは今の暮らしで、どこに負担を感じているのかを見つけることから始めてみませんか。
毎日の小さな困りごとを一つずつ整理し、ご家族に合った住まいの形を一緒に考えていきます。